TAIR-11/ -11A、ТАИР-11/ -11A (ソ連/ロシア レンズ紹介)
2018年9月19日
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ロシア・ソ連製のレンズでは絞りの形が星形だったり四角だったりする変わり種が紹介されがちだが、ТАИР-11Aは見事な円形を描くことで特筆される。20枚もの絞り羽根が生み出す美しい円は、撮影する前から、ただただ眺めるだけで陶然してしまいそうな滑らかな動きを見せる。MIP-1同様、1958年のブリュッセル万博でその一連のレンズとして本玉もグランプリを受賞しており、画像銀鏡胴のレンズには銘文が刻印されている。

90年代半ばまで製造が続けられ、マウントがM39 の-11(銀鏡胴)、M42 の-11-2とあり、-11Aはアダプタが装着できるモデルとのこと。また-11Tというテレビカメラ用もある。
ネーミングに関しては、HeliosやJupiterと西側の技術を模倣したレンズに付いたギリシャ神話の神々の名ではなく、牽牛星Альтаирからアラビア語の冠詞 Альを取ったもの(あるいはマリ・エル共和国にあるタイル湖から取ったという説もある)。牽牛星、いわゆる彦星のことだ。星ボケを生むレンズに冠しても良さそうなロマンティックなネーミングだ。

鏡胴には絞りリングがふたつある。ひとつは絞りのストッパー。Helios40にも見られるこの構造、西側のコピーレンズには例をみないが、ソ連独自の設計によるものである証左のひとつであろうか。
それ故なのかは不明だが黒鏡胴は90年製と、まさにソ連崩壊の直前のモデルであるためか(モスクワのオールドレンズ商人F氏の説によると、ソ連製レンズの品質が最も劣化した時代)、写りはいかにもオールドレンズ然とした甘い写りという印象。逆光にも弱くフレアを含んだ絵となることが多い(申し訳程度に遮光カバーが付いているが作りは安っぽい)。
とはえいえ望遠レンズの焦点距離をお手軽に楽しむには十分なスペックであり、昨今流行りのエアリーな作風を求める向きには好まれるレンズかもしれない。

レンズ名 TAIR-11/ -11A、ТАИР-11/ -11A (製造年不明/90年製)
製造会社 KMZ(クラスノゴルスク機械工場)
マウント M39/M42
焦点距離 135mm
開放絞り F2.8
光学系 3群4枚
最短撮影距離 1.2m
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