Волна-9はマクロレンズではあるが、オールドレンズファンの間では、その絞りの形状により発生する星ボケ(通称”ダビテの星”)で人気の銘玉である。星ボケは絞り値F5.6~F8できれいに発生し、細かな木漏れ日の中や、夜景のイルミネーションを背景にメルヘンチックな描写が得られる。 その一方で、F2.8の開放で得られるボケ味も滑らかで、F5.0まで絞る手前では角ばったボケも発生するなど、絞りでボケをコントロールできる特殊な羽根形状を持つレンズ。 星ボケを生むソ連製レンズとしてはINDUSTAR 61L/Z-MCも知られている。同工場内で製造ラインを共有したが故に、レンズ素材のガラス、絞り羽根の形状等を受け継いでいるが、50m/F2.8と同じスペックを持ちながら、一回り大きいВолна-9は、マクロ性能を高め、より高度な解像力を持たせる改良が加えられている。 最短撮影距離0.24m、最大倍率0.5倍は、草花や昆虫の撮影にも向いている一方、コントローラブルなボケを活かし、通常の撮影でも様々なシチュエーションでの撮影に活かせる。 MC(マルチコーティング)が施され、マクロを極めたが故のシャープでコントラストある描写が楽しめる意外と優秀なレンズ。ただ、50mmとしてはズシリと重い金属製の鏡胴がタマニキズか。
レンズ名 | MC VOLNA9/MC Волна-9 (86年製) |
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製造会社 | LZOS(リトカリノ光学硝子工場) |
マウント | M42 |
焦点距離 | 35mm |
開放絞り | F2.8 |
光学系 | 5群6枚 |
最短撮影距離 | 0.24m |
