日本ユーラシア協会発行、月刊紙『日本とユーラシア』のМФК連載企画。写真はもちろんだが、撮影者によるエッセイ風コメントも工夫がされています。
「ここ、トビリシで一番のパン屋なの」と、小さな扉から焼きたてのパンを次々に受け取る。首都トビリシの旧市街の路地にひっそり開いたその扉は、半地下のパン工房だ。トネ(釜)で焼かれたラヴァシと呼ばれるパンの焼き上がりを優しい眼差しで確かめる。今宵、パンと一緒に食べるのはハルチョーか、シャシリクか? ご婦人は両手で10枚ものパンを抱え、小麦粉の芳ばしい香りを残し、笑顔で家路に就いた。
掲載:月刊紙『日本とユーラシア』2017年10月号 タイトル:焼きたての香り 写真:YAJ 撮影地:トビリシ/ジョージア